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夫婦間贈与で不動産を渡すおしどり贈与とは?注意点や贈与税の仕組みも紹介

不動産売却の基礎知識

辻本 伸幸

筆者 辻本 伸幸

不動産キャリア20年

長期的な視点で物事に取り組むのが得意で、任されたことは最後までやり遂げる責任感を大切にしています。慎重に最適な判断を導くことを心がけており、お客様にも丁寧かつ的確なご提案ができるよう努めています。

夫婦で不動産を購入したり、将来の資産を計画的に守りたいと考えた際、「おしどり贈与」という言葉を耳にしたことはありませんか?一方で、「どのような制度なのか」「税金面で本当にお得なのか」といった疑問や不安を感じている方も多いでしょう。この記事では、夫婦間での不動産贈与におけるおしどり贈与の仕組みや注意すべき点、節税のポイントまで、専門家の視点で分かりやすく解説します。大切な資産をより良く家族のために活かすために、ぜひ最後までご覧ください。

おしどり贈与とは?制度の概要と適用要件

おしどり贈与とは、正式には「贈与税の配偶者控除」と呼ばれる制度で、長年連れ添った夫婦間での居住用不動産の贈与に対し、贈与税の負担を軽減する特例です。具体的には、婚姻期間が20年以上の夫婦が、居住用不動産またはその取得資金を贈与した場合、通常の基礎控除110万円に加え、最大2,000万円まで贈与税が非課税となります。これにより、合計で最大2,110万円までの贈与が税負担なしで可能となります。

この制度の目的は、長年連れ添った配偶者に対し、生活の安定や住居の確保を支援することにあります。特に、高齢の夫婦にとって、将来の住まいを確保する手段として有効です。

おしどり贈与の適用を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 婚姻期間が20年以上であること:婚姻届を提出し、法律上の婚姻関係が20年以上継続している夫婦が対象となります。内縁関係や事実婚は含まれません。
  • 贈与財産が居住用不動産またはその取得資金であること:贈与の対象は、受贈者が実際に居住するための国内の家屋やその敷地、またはそれらを取得するための資金に限定されます。別荘や賃貸用不動産は対象外です。
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに居住し、その後も引き続き住む見込みであること:贈与を受けた不動産に、贈与を受けた年の翌年3月15日までに実際に居住し、その後も継続して住むことが求められます。

さらに、贈与税の基礎控除110万円とおしどり贈与の特例2,000万円を併用することで、最大2,110万円までの贈与が非課税となります。これにより、夫婦間での資産移転がより柔軟に行えるようになります。

以下に、おしどり贈与の適用要件をまとめた表を示します。

要件 詳細
婚姻期間 20年以上の法律上の婚姻関係
贈与財産 居住用不動産またはその取得資金
居住要件 贈与翌年3月15日までに居住し、その後も継続居住

おしどり贈与を活用することで、夫婦間での住まいの確保や将来の生活設計がより安心して行えるようになります。ただし、適用要件を満たすことが前提となるため、事前に十分な確認と準備が必要です。

おしどり贈与のメリットと活用方法

おしどり贈与は、婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産やその取得資金を贈与する際に、最大2,000万円まで贈与税が非課税となる特例です。これに基礎控除110万円を加えると、合計2,110万円まで非課税で贈与できます。以下に、この制度の主なメリットと具体的な活用方法を解説します。

まず、最大のメリットは贈与税の大幅な節税効果です。通常、2,000万円の贈与には約695万円の贈与税が課されますが、おしどり贈与を適用すれば、この税負担をゼロに抑えることが可能です。これにより、夫婦間での資産移転がスムーズに行えます。

さらに、この特例で贈与された財産は、生前贈与加算の対象外となります。一般的な贈与では、相続開始前7年以内の贈与財産が相続財産に加算され、相続税の計算に影響を及ぼします。しかし、おしどり贈与を利用すれば、贈与時期に関わらず相続財産に加算されないため、相続税の節税効果が期待できます。

また、将来の相続税対策としても有効です。夫婦間で財産を分散させることで、相続時の税負担を軽減できます。特に、夫の財産が多い場合、妻に不動産を贈与することで、相続税の基礎控除内に収めることが可能となり、結果的に相続税が非課税となるケースもあります。

具体的な活用方法としては、以下のようなケースが考えられます。

活用ケース 内容 期待される効果
夫から妻への自宅贈与 夫名義の自宅を妻に贈与し、名義を変更する。 妻の居住権を確保し、将来の相続時のトラブルを防ぐ。
共有名義化による売却時の税負担軽減 自宅を夫婦共有名義にし、将来売却時に各自3,000万円の特別控除を適用する。 売却益に対する税負担を大幅に軽減できる。
将来の相続税対策 夫の財産を妻に贈与し、夫の相続財産を減少させる。 相続税の基礎控除内に収め、相続税を非課税にする可能性が高まる。

このように、おしどり贈与は夫婦間での資産移転や将来の税負担軽減に有効な手段です。ただし、適用要件や手続きには注意が必要です。具体的な状況に応じて、専門家に相談しながら活用を検討することをおすすめします。

おしどり贈与のデメリットと注意点

おしどり贈与は、夫婦間で居住用不動産を贈与する際に贈与税が非課税となる制度ですが、利用にあたっては以下のデメリットと注意点を理解しておくことが重要です。

まず、贈与による不動産取得には「不動産取得税」と「登録免許税」が発生します。相続による取得ではこれらの税負担が軽減されるのに対し、贈与の場合は税率が高く設定されています。

税目 贈与による取得 相続による取得
不動産取得税 固定資産税評価額の3% 非課税
登録免許税 固定資産税評価額の2% 固定資産税評価額の0.4%

このように、贈与による不動産取得は相続に比べて税負担が大きくなる点に注意が必要です。

さらに、おしどり贈与は同一の配偶者間で一度しか利用できません。したがって、将来的に不動産の買い替えや建て替えを検討している場合、最適なタイミングでの利用が求められます。

また、相続税には「配偶者控除」や「小規模宅地等の特例」といった優遇措置があります。これらを活用することで、相続時の税負担を大幅に軽減できる可能性があります。特に、配偶者控除では1億6,000万円または法定相続分まで相続税が非課税となり、小規模宅地等の特例では自宅の土地評価額を最大80%減額できます。これらの特例を考慮すると、場合によっては相続時の方が税負担が少なくなることもあります。

さらに、贈与された配偶者が先に亡くなるリスクも考慮すべきです。受贈者が先に亡くなった場合、贈与された不動産はその配偶者の相続財産となり、結果的に相続税が課税される可能性があります。

以上の点を踏まえ、おしどり贈与の利用を検討する際は、専門家と相談し、家族全体の状況や将来設計を考慮した上で最適な方法を選択することが重要です。

おしどり贈与を検討する際の手続きとポイント

おしどり贈与を活用する際には、適切な手続きを踏むことが重要です。以下に、具体的な手続きと留意点を詳しく解説します。

まず、贈与税の申告手続きについて説明します。おしどり贈与を適用するためには、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、受贈者の住所地を管轄する税務署に贈与税の申告を行う必要があります。たとえ贈与税が発生しない場合でも、申告は必須です。申告の際には、以下の書類を添付する必要があります。

  • 贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍謄本または抄本
  • 同じく10日を経過した日以後に作成された戸籍の附票の写し
  • 居住用不動産の登記事項証明書
  • その居住用不動産に住んだ日以後に作成された住民票の写し

ただし、戸籍の附票の写しに記載されている住所が居住用不動産の所在地と一致する場合、住民票の写しの添付は不要です。さらに、居住用不動産の贈与を受けた場合は、固定資産評価証明書などの評価書類も必要となります。

次に、贈与後の居住要件と期限について説明します。贈与を受けた年の翌年3月15日までに、受贈者が贈与された居住用不動産に実際に居住し、その後も引き続き住む見込みであることが求められます。例えば、2024年10月1日に贈与を受けた場合、2025年3月15日までにその不動産に居住を開始し、継続して住む必要があります。すぐに売却や転居を予定している場合、この要件を満たさない可能性があるため注意が必要です。

最後に、専門家への相談の重要性と適切なタイミングについて触れます。おしどり贈与の手続きは複雑であり、税務上のリスクも伴います。適用要件の確認や必要書類の準備、申告手続きなど、専門的な知識が求められるため、税理士や司法書士などの専門家に相談することを強くおすすめします。特に、贈与契約書の作成や不動産の登記手続き、税務申告など、各段階での適切な対応が求められます。専門家への相談は、贈与を検討し始めた初期段階で行うと、スムーズな手続きが可能となります。

以下に、おしどり贈与の手続きに関する主要なポイントを表にまとめました。

項目 内容 注意点
贈与税申告 翌年2月1日~3月15日に税務署へ申告 贈与税が発生しない場合も申告が必要
必要書類 戸籍謄本、戸籍の附票、登記事項証明書、住民票など 作成日や内容に注意し、正確な書類を準備
居住要件 翌年3月15日までに居住開始し、継続居住 転居や売却予定がある場合、要件を満たさない可能性
専門家相談 税理士や司法書士への早期相談 手続きの各段階で適切な対応が可能となる

おしどり贈与を検討する際は、これらの手続きとポイントを十分に理解し、適切に進めることが重要です。専門家の助言を活用し、円滑な手続きを目指しましょう。

まとめ

おしどり贈与は、夫婦間での居住用不動産の贈与に関して大きな節税効果が期待できる特別な制度です。婚姻期間が二十年以上など一定の条件を満たせば、贈与税の非課税枠が拡大し、贈与税の負担を大幅に軽減できます。ただし、不動産取得税や登録免許税は別途発生し、同じ配偶者間で一度しか利用できないなどの制限もあります。相続時との比較や、適切な手続き、期限にも注意が必要です。不明点があれば、早めに専門家へ相談しましょう。ご自身やご家族の将来設計の参考にしていただき、賢い選択をしていただければ幸いです。

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